AI従業員 / コラム

Column

住宅診断の問い合わせ受付をAIで軽くする

2026-10-02 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

住宅診断(ホームインスペクション)でAI従業員に任せられるのは、建物の判定や結果の説明、報告書の作成、料金や日程の確定を人に残したまま、診断依頼の一次受け、物件の所在地・築年数・構造・面積・診断の目的・立会いの有無・希望日・連絡先の聞き取り、繰り返しの質問への一次案内まで。依頼は調査士が床下や屋根裏に入っている時間に電話で届き、現場にいる本人は手が出せない。しかも新規の依頼と、終わった診断への質問が一本の電話に同居して受付を止める。受付を人員で埋めれば給料が利益を削るため、聞き取りの下ごしらえを仕組みへ寄せ、人は調査と判定に集中する。業務委託で手を広げたら利益が先に細った経験から一次対応をAIへ移してきた須賀龍平が、事務に追われる住宅診断事務所の経営者向けに解説する。

住宅診断の問い合わせ受付、AIに任せられるのはどこまでか

任せられるのは、建物の判定や結果の説明、報告書の作成、料金や日程の確定を人に残したまま、診断依頼の一次受け、物件の所在地・築年数・構造・面積・診断の目的・立会いの有無・希望日・連絡先の聞き取り、繰り返しの質問への一次案内までです。どこが傷んでいるか、その家をどう評価するかは、現場に入って見た人でなければ判断できないので、AIはその手前で、手配に要る材料をそろえる役に徹します。

ここで言うAI従業員とは、特別な新システムではなく、いま動いている電話・メール・問い合わせフォームの内側で、診断の相談を受け止め、聞くべき項目を漏れなく確かめ、空いた欄を埋めておく事務方のことです。何を調べ、どう判定し、いくらで請け負うか——その見極めは、今まで通り人の側に残ります。

なぜ診断の受付で、電話が取りこぼれるのか

現場に出る人と電話を受ける人が、同じ一人になりやすいからです。小さな事務所ほど、そうだと聞きます。床下にもぐり、屋根裏に上がっている間は、受話器に手を伸ばせません。

一人や少人数の事務所では、現場で建物を一軒ずつ見て回る調査士本人が、受付も兼ねていることが多いと聞きます。狭い床下で点検している最中や、はしごで天井裏を確かめている最中に着信が鳴っても、すぐには出られない。一方で依頼を出す不動産仲介会社や、中古住宅の購入を控えた個人の側は、売買の話が動いた直後に「引き渡し前に見てほしい」と急いで連絡してきます。現場で手が離せない時間帯に限って、急を要する相談が立て込む。そう話す事務所も多いと聞きます。折り返したころには、別の事務所に手配が済んでいた、ということも起こります。日程は空いていたのに、受話器を取れなかったせいで一件が流れる。電話の一次対応が落ちる仕組みそのものは不動産仲介の反響対応をAIで取りこぼさないでも扱っています。

「新しい依頼」と「済んだ診断の相談」は、分けて受ける

診断事務所にかかる電話は、一見ひとつに見えて、二種類が同居しています。

ひとつは「この物件を診てほしい」という新しい依頼。もうひとつは「報告書にあったこの指摘はどういう意味か」という、終わった診断についての相談です。前者は物件と目的を型どおり聞きそろえられますが、後者は建物を見た人が写真と所見を手元に説明すべきことで、機械に代わりは務まりません。AIに入口を預ける意味は、この二種類を会話の最初で振り分けられることにあります。新しい依頼はAIが物件・目的・希望日を埋めて渡し、結果の相談は「診断した者からご説明します」と人へ回す。こうして、人は調査と判定、そして結果を伝える場面に時間を寄せられます。

AI従業員に任せられる業務の例

調査と判定へ進む前の、下ごしらえを引き受ける役どころです。

どこが傷んでいるか、その家をどう評価するか、いくらでいつ引き受けるか——この線から先は、必ず人が決めます。AIは材料をそろえて渡すところで止まり、建物の判定には踏み込みません。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。リフォーム前提の相談が多いならリフォーム会社の顧客対応をAIで軽くするの考え方も合わせて使えます。

導入の流れ

最初に任せるべきは、問い合わせの中でいちばん往復の多い入口です。住宅診断なら、依頼を受けてから、日程と見積もりを出せるだけの情報が出そろうまでの聞き取りが、たいていそこに当たります。

いまの電話・メール・フォームは、そのまま使って構いません。届いた相談をAIが書き起こし、所在地・築年数・構造・面積・目的・希望日の順にそろえ、埋まっていない欄だけを一次で確認する。こうして動かし始めて2〜14日もたてば、聞き逃しやすい項目や、折り返しが増える場面のパターンが見えてきます。あとはそのパターンに沿って、質問の並びを少しずつ調整していくだけです。目指すのは依頼を選り分けて減らすことではなく、どの相談も同じ手順で情報を整え、人が調査と判定へ向ける時間を取り戻すことにあります。

よくある質問

不具合があるかどうかまで、AIが答えてしまいませんか。

答えさせません。どこにどんな劣化があるかは、現場に入って見た人でなければ判断できません。AIは「物件のことをうかがって、日程を調整して伺います」と受けて、材料を整えるところまで。建物の状態についての返事は、調査した人が報告書と説明で出します。

費用や診断の日取りを、AIが勝手に確約してしまいませんか。

しません。料金は物件の規模や診断の範囲で変わり、日程は調査の空き次第です。どちらの確定も人の仕事です。AIは希望を書き留めて並べるだけで、「いくら」「いつ」を決める線は人の手に残します。

不動産会社からの手配が多く、個人のお客様も混ざります。まとめて拾えますか。

拾えます。電話の内容を書き起こし、メールやフォームの依頼とひとつの並びにそろえるので、窓口が分かれていても一覧で見渡せます。会社からの手配でも個人からの相談でも、物件・目的・希望日を同じ型にそろえるため、人はまとめて段取りを組めます。

終わった診断について、お客様から質問が来ます。これもAIが受けますか。

一次で受け止めるところまでです。「診断した者からご説明します」といったん受け、人へつなぎます。報告書の中身の説明は、建物を見た人の役目なので、AIに答えさせることはしません。入口で仕分けて渡すのが役割です。

一人や少人数で回しています。効果はありますか。

小さな体制でこそ、この詰まりははっきり出ます。現場に入る本人が受付も兼ねることが多く、作業を中断するか電話を逃すかの板挟みになりがちだからです。一次受けさえ先回りで済んでいれば、現場から戻ったときに、整った情報へ目を通して返事をするだけで済みます。人を足して受付を厚くするほど利益は痩せるので、まずは下ごしらえの側を仕組みに預けるのが順序です。

まとめ

診断の電話がこぼれ落ちるのは、応対の姿勢の問題ではありません。調べる本人が受付も兼ねることが多く、急ぎの依頼ほど現場にもぐっている最中に届き、おまけに新規の依頼と終わった診断への質問が一本の電話に同居するからです。ここを人員で埋めれば、その給料がそのまま利益を削ります。打ち手は逆で、入口の一次受けと聞き取りをAIに任せ、判定・料金・日程の決定だけを人が握る。そうすれば、依頼の数はそのままに、建物と向き合う時間を確保しやすくなります。

僕自身は、建物の床下にもぐって劣化を見た経験はありません。ただ、一人で会社を回していると、事務のやり取りに時間を取られて、肝心の判断に手が回らない感覚は、よく分かります。手を広げたくて、一時は業務委託の数を増やしていた時期もありました。ところが前に出てきたのは、段取りを確かめ合うやり取りと、それに付いてくる事務の山でした。売上が伸びるより先に、利益のほうが目減りしていったのです。そこで委託先を一社にしぼり、考えずに済む定型はAIに託して、僕は見極めと判断だけを手元に置き直しました。診断の受付のどこで時間が溶けているのか、15〜30分の無料診断で棚卸ししてみませんか。

診断後、AI化しやすいと判断した1業務は、簡易版のAI従業員として無料で作ります。

無料で1業務をAI従業員化する(LINE)

須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

御社の業務は、どこからAIに任せられるか。

15〜30分の無料診断で、御社のどの業務がAIに任せられるかを整理します。診断後、AI化しやすい1業務は簡易版として無料でAI従業員化します。

無料で1業務をAI従業員化する