AI従業員コラム

Column

農園・直売所の注文と予約対応をAIで軽くする

2026-07-22 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

農園・農産物直売所でAI従業員に任せられるのは、その日の在庫や出荷の可否、品質と値決めの判断を生産者に残したまま、注文と収穫体験の予約の一次受け、そして繰り返し聞かれる質問への返信だけである。農産物は「今日採れた分しかない」在庫で、採れ高は天候に左右され、しかも問い合わせが増える収穫期は生産者が最も畑に出ている時期と重なる。土のついた手でスマートフォンを持てず、ハウスや畑では着信に気づけないため、「今日はやっていますか」「あの品種はまだありますか」という短い問い合わせほど取りこぼしやすい。AI従業員は、LINEやフォームに届いた注文・予約の相談を受け取り、品目・数量・希望日・受け取り方法・人数を聞き取って整理し、営業日や場所、駐車場、支払い方法のような定型の質問には決まった文面で返し、在庫の確認が要る相談は生産者に渡す。取れ高や発送の可否、当日の中止判断は人が決める。足立区で合同会社9Zを一人で営む須賀龍平が、自社のAI活用の経験から解説する。

農園・直売所の注文や予約は、AIに任せられるのか

任せられます。ただしその日の在庫や出荷の可否、品質と値段の判断を生産者に残したまま、注文と予約の一次受け、そして繰り返し聞かれる質問への返信までに限られます。

AI従業員とは、LINE・メール・フォームに届いた「明日の直売所は開いていますか」「贈答用に箱で送れますか」「収穫体験は日曜に空いていますか」といった相談を受け取り、ほしい品目・数量・希望日・受け取りが来店か発送か・体験なら人数と時間帯を聞き取って一覧に整え、営業日や場所、駐車場、支払い方法のような何度も聞かれる内容には決まった文面で返し、在庫や出荷の確認が要る相談は生産者に渡す仕組みを、いま使っている連絡先の裏側に組み込むものです。今日どれだけ採れたか、それを売れるか送れるか、いくらで出すかを決めるのは生産者なので、そこは動かさず、相談を受け止めて条件をそろえる部分だけを渡す形になります。

なぜ農園の問い合わせは、一番忙しい時期に取りこぼされるのか

問い合わせが増える収穫の時期が、そのまま生産者が朝から畑に出ていて、連絡に気づけない時期だからです。

農産物の在庫は、工場から仕入れる商品と違って「今日採れた分しかない」在庫です。採れ高は天候と生育に左右され、前の日に決めておくことができません。だから買う側も「今日は何が並んでいますか」「あの品種はまだ残っていますか」と、その都度確かめてから動きます。ところが確かめたい相手は、まさにその作物を採るために畑やハウスにいます。土や水で汚れた手ではスマートフォンを持てず、ビニールハウスの中では着信音そのものが聞こえないこともある。夕方に選果と箱詰めを終えて携帯を見た頃には、問い合わせてきた人はもう別の直売所へ行くか、通販で買ってしまっています。しかも収穫の最盛期は、その品目を目当てにした問い合わせが最も増える時期でもあります。忙しさと問い合わせの山が同じ時期に来るというのが、この商売の連絡の詰まり方です。

花屋や移動販売の受付とは、何が違うのか

同じ「その日の物と手が塞がる時間に縛られる商売」でも、農園は在庫そのものが天候で動き、答えられるのが畑にいる本人だけになりやすい点が違います。

季節の波と即日の注文が重なる花屋・生花店の注文と問い合わせをAIで軽くするは、仕入れた花をどう届けるかが軸でした。売り場が毎回移るキッチンカーの出店・注文対応をAIで軽くするは、場所と条件の確認が軸でした。農園はそのどちらとも違って、売る物の量が朝の畑で決まります。だから受付の設計でも、在庫を答えさせるのではなく、「何を・どれだけ・いつ・どう受け取りたいか」という買う側の条件を先にそろえておいて、生産者が畑から戻った時点で在庫と突き合わせるだけにしておく形が現実的です。答えを出す部分ではなく、答えを出すための材料を集める部分を渡す、と考えると線が引きやすくなります。

AI従業員に任せられる業務の例

その日に何がどれだけあるか、発送に耐える状態か、値段をいくらにするか、雨天で体験を中止するかを決めるのは生産者です。AIはその判断の手前で条件をそろえるところまでを担います。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

導入の流れ(2〜14日が目安)

STEP 1 無料診断+1業務の無料AI従業員化: LINEでご連絡いただければ、いまの注文と予約の受け方、収穫期にどれくらい取りこぼしているかを一緒に整理します。費用はかかりません。

STEP 2 業務確認・設計: 扱っている品目や時期ごとの答え方、発送できる範囲、体験の受け入れ人数、在庫の確認が要る相談として生産者へ上げる線引きを、農園ごとの売り方に合わせて組み込みます。在庫と値段の判断は生産者が握る範囲としてはっきり分けます。

STEP 3 構築・試験運用(2〜14日目安): いまお使いのLINE・フォームのまま、裏側にAIを組み込みます。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが文字に整えて並べる形にして、畑にいて出られなかった連絡を後から拾い直せるようにします。

STEP 4 本格稼働: 注文と予約の受け皿としてAIが動き始めます。品目が入れ替わるたびに聞かれることも変わるので、聞き取りと返信の文面を月1回のペースで直していきます。

よくある質問

電話にもAIが直接出てくれるのですか?

いいえ。AIが自動で受けるのはLINE・メール・フォームです。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが整理します。直売所やのぼり、SNSの案内に文字の受付口を出しておけば、畑に出ていて出られない時間でも、相手は用件を送って残せます。

その日の在庫まで、AIが答えてしまいませんか?

答えません。何がどれだけ残っているかは畑と直売所を見ないと分からないので、AIは「何を・どれだけ・いつ・どう受け取りたいか」を聞き取って整理するところまでです。在庫の答え合わせと確定の連絡は生産者が行います。

収穫体験の予約はどこまで任せられますか?

希望日・時間帯・人数・駐車の要否を聞き取って、仮の申し込みの形に整えるところまでです。受け入れられるかどうか、雨天や生育の遅れで中止にするかどうかは生産者が判断します。当日の可否を人が握ったままでも、申し込みの受け止めだけは先に進められます。

無人の直売所でも使えますか?

使えます。むしろ人が張り付いていない直売所ほど、「今日は開いていますか」「あの品はまだありますか」という問い合わせの行き先がなくなりがちです。文字の受付口を掲示しておけば、その場で送ってもらった相談を後からまとめて確認できます。

贈答用の発送やふるさと納税の相談も受けられますか?

送り先や希望日、のしの要否といった条件の聞き取りまでは任せられます。実際に送れる状態か、いつ出荷するか、どの制度で扱うかは生産者が判断して連絡します。条件がそろった状態で手元に届くので、確認と返事だけに集中できます。

料金はどれくらいかかりますか?

扱う品目や問い合わせの受け方によって変わるため、まずは無料診断でご説明します。1業務から小さく始める形をおすすめします。

まとめ

農園や直売所で問い合わせを取りこぼしやすいのは、対応が後回しなのではなく、答えられる本人が畑にいる時間と、聞きたい人が連絡してくる時間が重なっているからです。ここを崩さずに変えるなら、在庫と出荷と値段の判断は生産者に残したまま、注文と予約の受け止めだけを文字の窓口に逃がす形が現実的です。

僕がやっている合同会社9Zは、足立区の社員ゼロの会社です。畑で作物を育てたことも、朝採りの野菜を並べて直売所に立ったこともありません。それでも、手を動かさないと物事が進まない時間ほど連絡に気づけず、後から見返すと問い合わせだけが積み上がっている、という状態には覚えがあります。会社を大きくしようと業務委託で人を増やしていた時期は、任せる相手が増えるほど確認のやり取りと書類が膨らみ、利益が先に細っていきました。いまは委託を1社に絞り、判断の要らない受付だけをAIに寄せて、売上を変えないまま利益率を改善できています。採れ高のように自分で決められないものを相手にする商売ほど、決められる部分と決められない部分を分けて、決めなくていい部分は仕組みに預けておくほうがいいと考えています。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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