AI従業員コラム

Column

産業機械の修理受付と保守事務をAIで軽くする

2026-07-22 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

産業機械の修理・保守業でAI従業員に任せられるのは、故障の原因の診断、部品の適合と修理の可否、安全に関わる判断を技術者に残したまま、修理依頼の一次受けと機番・型式・エラー表示の聞き取り、緊急度の仕分け、定期点検の日程調整の下ごしらえだけである。この商売の依頼は「機械が止まった、今すぐ来てほしい」という形で入り、止まっている間ずっと相手の生産も止まっているため待てない。ところがその時間、サービスマンは別の取引先の工場で機械を開けており、電話にも出られなければメールも見られない。そこへ契約先の定期点検の日程調整が同じ窓口に重なり、緊急と定型が混ざる。AI従業員は、LINEやフォームに届いた依頼を受け取り、設置場所・機種名・機番・エラー表示・止まっているかどうか・いつからかを聞き取って整理し、緊急らしい依頼を上に並べ、定期点検の候補日のやり取りを下ごしらえする。原因の特定と部品の判断は技術者が握る。足立区で合同会社9Zを一人で営む須賀龍平が解説する。

産業機械の修理依頼や保守の事務は、AIに任せられるのか

任せられます。ただし故障の原因の診断、部品の適合や修理の可否、安全に関わる判断を技術者に残したまま、依頼の一次受けと機番・症状の聞き取り、緊急度の仕分け、定期点検の日程調整の下ごしらえまでに限られます。

AI従業員とは、LINE・メール・フォームから届いた「装置が止まった」「エラーが出て復帰しない」「異音がして様子がおかしい」といった依頼を受け取り、設置場所・機種名・機番・エラー表示の番号・いまも止まっているか・いつから起きているか・現場の担当者と連絡先を聞き取って整理し、緊急らしい依頼を上に並べ、定期点検の候補日のやり取りや報告書の下ごしらえを進める仕組みを、いま使っている連絡先の裏側に組み込むものです。何が原因で止まったのか、どの部品が要るのか、直せるのか、安全に動かせる状態かを決めるのは技術者なので、そこは動かさず、その判断を始めるための材料を集める部分だけを渡す形になります。

なぜ修理依頼は、一番手が塞がっている時に重なるのか

機械が止まった瞬間に依頼が飛んでくるのに、その時間のサービスマンは、別の取引先の工場で装置を開けている最中だからです。

産業機械の修理は、相手の生産が止まっている間ずっと損失が出続ける仕事です。だから依頼は「見積もりをください」ではなく「今すぐ来てほしい」という形で入ります。相手も焦っているので、最初につながった業者に頼むか、メーカーの窓口へ回してしまう。ところがその時間、サービスマンはよその工場のピットで盤を開け、両手を使って作業をしています。電話は鳴っても出られず、メールは開けない。事務所に人がいなければ、その依頼はどこにも残りません。さらに厄介なのは、その同じ窓口に契約先の定期点検の日程調整が並行して入ってくることです。「来月の点検はいつにしますか」という急がない連絡と、「止まった」という急ぐ連絡が同じ場所に混ざり、戻ってから読み分ける手間が積み上がります。緊急と定型が同じ入り口を通ってくるというのが、この商売の受付の構造です。

空調設備や町工場の事務とは、何が違うのか

同じ設備まわりの仕事でも、産業機械の修理は、相手の生産ラインが止まっている前提で連絡が来ることと、機番や型式といった長い聞き取りが最初に要ることが重なる点が違います。

季節でまとまって動く空調・エアコン工事の予約と事務をAIで軽くするは、いつ来てもらうかの調整が軸でした。図面と加工の段取りを抱える町工場・製造業の事務作業をAIで軽くする方法は、注文と工程の書類が軸でした。産業機械の修理は、そこへ「相手の工場がいま止まっている」という時間の圧力が乗ります。しかも駆けつける前に、機種名と機番、銘板の表示、エラーの番号、いつから起きているかが分かっていないと、部品も工具も用意できません。つまり急がなければならないのに、聞くことが多い。この二つが同時に来るので、聞き取りだけでも先に進めておく価値があります。

AI従業員に任せられる業務の例

原因の特定、部品の適合の判断、修理の可否、安全に動かせるかどうかの確認は必ず技術者が行います。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

導入の流れ(2〜14日が目安)

STEP 1 無料診断+1業務の無料AI従業員化: LINEでご連絡いただければ、いまの依頼の受け方と、外に出ている時間帯にどれだけ取りこぼしているかを一緒に整理します。費用はかかりません。

STEP 2 業務確認・設計: 扱っている機械の種類ごとに、駆けつける前に必ず聞く項目、すぐ技術者へ上げる条件、契約先と一見の依頼の分け方を、御社の受け方に合わせて組み込みます。原因の判断と修理の可否は技術者が握る範囲としてはっきり分けます。

STEP 3 構築・試験運用(2〜14日目安): いまお使いのLINE・メール・フォームのまま、裏側にAIを組み込みます。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが文字に整えて並べる形にして、作業中に出られなかった依頼を後から拾い直せるようにします。

STEP 4 本格稼働: 依頼の受け皿としてAIが動き始めます。よく来る故障や機種の傾向に合わせて、聞き取りの項目と仕分けの基準を月1回のペースで直していきます。

よくある質問

電話にもAIが直接出てくれるのですか?

いいえ。AIが自動で受けるのはLINE・メール・フォームです。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが整理します。取引先に文字の受付口を知らせておけば、担当が現場に入っていて出られない時間でも、機番や症状を送って残しておいてもらえます。

故障の原因まで、AIが答えてしまいませんか?

答えません。AIが行うのは「どの機械が・どんな表示で・いつから・止まっているのか」を聞き取って整理し、緊急らしいものを上に並べるところまでです。原因の特定も、部品が合うかどうかの判断も、直せるかどうかも、技術者が現物を確認して決めます。

先方の担当者が機番を分からない場合はどうなりますか?

銘板の位置を案内して写真を送ってもらう、といった形の聞き取りまでは任せられます。送られてきた写真から型式を読み取って部品が適合するかを判断するのは技術者の仕事なので、その手前の「聞き出して手元にそろえる」ところまでが役割です。

定期点検の日程調整はどこまで任せられますか?

契約先ごとの次回時期をもとに候補日をやり取りし、相手の希望を整理するところまでです。誰がいつ入るか、部品の手配が間に合うかを見て確定するのは担当が行います。急ぎの修理と点検の連絡が同じ窓口で混ざっても、仕分けた状態で手元に届きます。

取引先ごとに契約条件が違うのですが、対応できますか?

条件そのものをAIが判断することはしません。契約の範囲内かどうか、費用がどうなるかは人が確認する前提で、依頼の内容と取引先を紐づけて渡すところまでを担います。判断が要る依頼ほど、材料をそろえてから人に回す形が安全です。

料金はどれくらいかかりますか?

扱う機械の範囲や依頼の受け方によって変わるため、まずは無料診断でご説明します。1業務から小さく始める形をおすすめします。

まとめ

止まった機械の前で待っている担当者は、こちらが別の現場にいる事情までは考えません。連絡がつかなければ、次の業者かメーカーの窓口にかけるだけです。一方で駆けつける側は、出る前に機番もエラー表示も押さえておかないと、部品も工具も積めない。急がなければならないのに、聞くことが多い。ここを崩さずに変えるなら、原因と可否の判断は技術者に残したまま、依頼の受け止めと機番・症状の聞き取りだけを文字の窓口に逃がす形が現実的です。

足立区で合同会社9Zを始めてから、僕はずっと一人だけで会社を動かしています。工具を持って盤を開けたことも、止まったラインの前で復旧を待つ担当者と向き合ったこともありません。それでも、急ぎの連絡ほど自分が一番動けない時間に届き、戻った頃には状況が変わっていた、というすれ違いには覚えがあります。会社を伸ばそうとして業務委託で人を増やした時期は、動く人が増えるほど誰に何を伝えたかの確認が増え、書類も一緒に膨らんで、利益のほうが先に痩せていきました。いまは委託を1社に絞り、判断の要らない受付と聞き取りだけをAIに寄せて、売上を変えないまま利益率を改善できています。相手の時間が止まっている仕事ほど、最初の受け止めを人の手から切り離しておく意味があると考えています。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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