設計事務所でAIに任せるとはどういうことか
設計事務所でAIに任せるとは、打合せや現地調査で事務所を空けている間に入る問い合わせや業者からの連絡の一次対応をAIに肩代わりさせ、用件や希望日時を聞き取って整理しておく仕組みのことです。設計そのものや法規の判断、意匠の提案は建築士が担い、その手前の「受ける・聞く・書き起こす・日程を調整する」をAIに寄せます。
設計事務所で連絡が取りこぼされやすいのは、仕事の中身が「席にいられない仕事」だからです。施主との打合せ、現地調査、現場監理、役所や確認検査機関とのやり取り——手を動かす場所は事務所の外にあることが多く、少人数の事務所ほど、その間は電話が鳴っても取れません。しかも設計の相談は、一本の電話で終わらず、図面や資料を見ながら何度も往復します。片手間に受けられる用件ではないぶん、タイミングが合わないと話が前に進みません。
設計事務所ならではの詰まり方
設計事務所の問い合わせは、性格の違うものが同じ窓口に集まります。新規の設計相談、進行中の案件の施主からの連絡、工務店や協力業者からの確認、役所や検査機関からの照会。急ぎ度も内容もバラバラで、そのどれもが「担当の建築士でないと答えられない」と思われがちです。だから受けた側は取り次ぐしかなく、打合せ中や外出中だと折り返しになる。新規の相談者は、返事を待つ間に別の事務所へ相談を進めてしまうこともあります。
さらに、聞き取る内容が多い。新規相談なら、土地は決まっているか、建て替えか新築か、おおよその規模や希望時期、予算感。業者連絡なら、どの案件のどの部分の話か。ここを最初に押さえておかないと、折り返しても「その資料が手元にない」ともう一往復増えます。設計という判断の前段に、こうした聞き取りと段取りの事務が、意外なほど積み上がっています。
僕は建築の設計をやっているわけではありません。ただ、少人数で会社を回していると、外に出ている時間に来た連絡ほど後手に回る、という感覚は痛いほど分かります。以前、会社を大きくしようと業務委託で人を増やしたところ、やり取りと書類ばかりが膨らんで、かえって利益が伸び悩みました。それで今は、人を増やすより先に、自分の会社の問い合わせの一次受けをAIに任せています。事務所を空ける時間が長い設計の仕事こそ、この受けの仕組みが効くはずです。
設計事務所でAIに任せられる業務
任せられるのは、建築士の判断が要らない、その手前の受けと段取りの部分です。
- 打合せ・現地調査・現場監理で不在のときの電話やメッセージへの一次対応
- 新規相談の聞き取り(土地の有無・新築か建て替えか・規模・希望時期・予算感)
- 施主や業者からの連絡を、どの案件の話かも含めて整理する
- 打合せや現地調査の日程調整と、候補日の擦り合わせ
- よくある質問(対応エリア・設計の進め方・相談は有料か・おおよその期間)への定型回答
- 受けた用件を、事務所に戻ったときに一目で分かる形で残しておくこと
反対に、設計の方針や法規の判断、プランの提案、見積もりや契約の話は建築士が担います。AIは一次受けと聞き取り・日程調整を引き受け、設計と判断は人が握る。この分担なら、席を外していても新規の相談を取りこぼしにくく、進行中の案件の連絡も後回しになりにくくなります。
導入の流れ
最初から全部を任せる必要はありません。まず「外に出ている時間にいちばん取りこぼしている連絡」を一つ選びます。多くの事務所では、それは打合せや現場に出ている日中の新規相談か、日程調整の往復です。そこだけをAIの一次対応に回し、聞き取った内容を確認してから折り返す運用から始めます。
一つ手応えが出てから、業者連絡の整理や、よくある質問への定型回答へ広げれば十分です。導入の手間はこちら側に寄せられるので、建築士や事務の方が新しく覚えることや操作することは、できるだけ増やさない形で設計します。
よくある質問
Q. 設計の専門的な相談までAIに任せるのですか。 いいえ。AIが担うのは一次受けと用件の聞き取り、日程調整までで、設計の方針や法規の判断、プランの提案は建築士が行います。外出中に取りこぼしていた新規相談を拾いやすくなるぶん、初動が早くなります。
Q. 新規相談の聞き取りは、どこまでできますか。 土地が決まっているか、新築か建て替えか、おおよその規模や希望時期、予算感といった項目を順番に確認して整理できます。込み入った要望や判断は建築士が引き取る前提なので、電話口で無理に専門的な受け答えをする必要がなくなります。
Q. 打合せや現地調査の日程調整も任せられますか。 候補日の提示や擦り合わせといった日程調整を肩代わりできます。往復の多い日程のやり取りが減るぶん、設計や監理に使える時間を確保しやすくなります。
Q. 工務店や検査機関からの連絡も受けられますか。 一次的に受け止め、どの案件のどの部分の連絡かを含めて整理して残せます。判断や回答が要るものは、担当の建築士が確認してから対応する形になります。
Q. パソコンやITが苦手でも使えますか。 新しいシステムを覚えて操作するのではなく、いつもの電話やメッセージの一次対応を肩代わりさせる形にできます。まず一業務から小さく始められます。
Q. 一人や少人数の事務所でも導入できますか。 むしろ席を外す時間が長い少人数の事務所ほど向いています。一人で設計も打合せも事務も抱えていると取りこぼしが増えるので、その受けをAIに寄せる意味が大きくなります。
まとめ
設計事務所は、打合せや現地調査、現場監理で席を外す時間が長く、そのあいだに新規相談や業者連絡を取りこぼしやすい仕事です。設計と判断は建築士が握り、その手前の「受ける・聞く・書き起こす・日程を調整する」をAIに寄せれば、外に出ていても相談を取りこぼしにくく、進行中の連絡も後回しになりにくくなります。
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