AI従業員コラム

Column

倉庫・物流業の在庫照会と事務をAIで軽くする

2026-08-03 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

倉庫・物流業は、荷主からの在庫照会や入出庫の依頼、納品書や請求の問い合わせが、庫内でのピッキングや荷役で手が塞がる最中に重なって取りこぼしやすい。在庫の引き当てや出荷の可否、庫内の段取りの判断は人に残したまま、AI従業員が問い合わせの一次受けと入出庫依頼の聞き取り、進捗連絡への一次返信を、メールやLINE・フォームの裏側で進める。荷物を運ぶ運送とは違う、預かって捌く保管業ならではの照会の多さを、人を増やさず軽くする考え方を、自社の受付をAIで回す一人社長・須賀龍平が解説する。

倉庫・物流業の在庫照会と事務は、人を増やさず軽くできる

倉庫・物流業の問い合わせまわりの連絡は、在庫をどう引き当てるか・その日出荷できるか・庫内をどう回すかといった判断を人に残したまま、荷主からの在庫照会・入出庫依頼の聞き取り・進捗連絡への一次返信だけをAIに任せれば、人を増やさずに軽くできます。照会に返しきれないのは対応が悪いからではなく、庫内でピッキングや荷役に動いている時間そのものが、電話にもメールにも手の届かない時間だからです。

ここでいうAI従業員は、作業員が庫内を歩き回っている間、荷主からの照会だけは別の誰かが窓口で受けてくれている、そんな状態を作る仕組みです。「あの商品の在庫はいくつ残っているか」「明日の午前で出荷を追加したい」「先週の入庫分の納品書がほしい」といった連絡を受け止め、依頼の要点を聞き取り、進捗の問い合わせに一次返信を用意する——手順の決まったこの部分を肩代わりさせ、実際に在庫を引き当てられるか、その日のうちに出せるかは、これまで通り現場と会社が持ちます。

なぜ倉庫・物流業は、庫内で動いている間に照会を取りこぼすのか

取りこぼしやすいのは、庫内作業そのものが手を離せない時間で、そこへ荷主からの照会や依頼が次々に重なるからです。

ピッキングで棚を回っている間も、フォークで荷を積み下ろししている最中も、手を止めれば出荷が遅れます。そこへ荷主から「在庫はいくつあるか」「出荷を一件追加したい」「納品書を再発行してほしい」といった連絡が、荷主ごと・商品ごとに届く。倉庫は複数の荷主を同時に受け持つことが多く、荷主ごとに商品も締め時間もルールも違うため、照会と依頼のやり取りだけでも膨らみます。締め間際やセール前には出荷依頼と在庫照会が一気に集中し、日中は庫内で動きっぱなし、夜に伝票と問い合わせの返信——という回り方になりがちな仕事です。

同じように、現場で手が塞がる間に連絡を取りこぼす構造は運送・物流業の事務をAIに任せるとも重なり、預かりものの問い合わせを一次受けする点ではトランクルーム・貸倉庫の予約・問い合わせをAIで軽くするにも通じます。

在庫と出荷の判断は人、照会の受けと依頼の聞き取りはAI

大事なのは、在庫を引き当てられるか・その日出せるかを見極める判断を人に残し、その周りにある照会の受けと依頼の段取りだけを切り出すことです。

在庫の引き当て、出荷の可否、庫内の人と時間の配り方、破損や欠品が出たときの対応——ここは在庫と現場を知る人間にしか決められない領域で、AIに任せるものではありません。AIに渡すのは、在庫照会や入出庫依頼の一次受け、依頼内容(荷主・商品・数量・希望日時)の聞き取り、進捗連絡への一次返信の下ごしらえまで。引き当ての確定も、出荷の可否も、返信を出す最終判断も、人が持つ前提で組みます。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

AI従業員に任せられる業務の例

在庫の引き当て、出荷の可否、庫内の段取り、金額の確定、返信の送信は必ず人が行います。倉庫は数量の取り違えが荷主の信頼に直結する仕事なので、在庫と出荷の判断はすべて人に残す設計が前提です。

導入の流れ(2〜14日が目安)

STEP 1 無料診断+1業務の無料AI従業員化: LINEでご連絡いただければ、いまの在庫照会・入出庫依頼・請求連絡の流れと、庫内で動いている間にどこで連絡が滞っているかを一緒に整理します。費用はかかりません。

STEP 2 業務確認・設計: どの連絡をAIに渡すか、御社の荷主ごとのルールと聞き取り項目(荷主・商品・数量・希望日時など)を組み込みます。在庫の引き当てや出荷可否など人が判断すべき範囲も、はっきり分けます。

STEP 3 構築・試験運用(2〜14日目安): いまお使いのメール・LINE・フォームのまま、裏側にAIを組み込みます。小さく動かして、実際の照会の流れに合うか確認し、ズレがあれば直します。

STEP 4 本格稼働: 日常業務の一部としてAIが動き始めます。荷主や取り扱う商品が増えたときに合わせて、聞き取りの項目と案内の文面を定期的に見直していきます。

よくある質問

在庫数まで、AIが答えてしまいませんか?

答えません。実際の在庫がいくつ残っているか、その数で出荷できるかは、在庫と現場を管理する人が確定する領域です。AIが担うのは、照会の受け止めと「どの荷主のどの商品を確認したいか」の聞き取り、一次返信の下書きまでで、在庫数の回答と出荷の可否は必ず人が行います。

庫内で動いていて手が離せない時間の連絡も受けられますか?

受けられます。AIが自動で受けるのはメール・LINE・フォームなので、ピッキングや荷役で手が塞がっている時間帯でも照会や依頼を受け止めて聞き取りを進め、手が空いたときに確認して折り返せる形にできます。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、残った伝言をAIが文字に起こして一覧に並べます。

荷主ごとに締め時間やルールが違っても対応できますか?

対応できます。荷主ごとの商品・締め時間・依頼の受け方を、御社の普段のルールに合わせて聞き取りの型に組み込みます。ルールに沿って要点を整理して並べるところまでがAIの範囲で、それを実際の庫内の段取りに乗せる判断は人が行います。

入出庫の依頼を受けて、そのまま出荷まで進めてしまいませんか?

進めません。AIは依頼を「荷主・商品・数量・希望日時」がわかる形に整理して並べるところまでで、実際に在庫を引き当てて出荷を確定するのは人です。誤出荷を避けるため、出荷の実行は必ず人の確認を挟む設計にします。

少人数で回している倉庫でも導入できますか?

できます。人手が少なく、庫内に入ると照会も電話も止まってしまう倉庫ほど、鳴っている連絡をまず受け止めておける効果が出やすい構造です。

まとめ

棚の間でピッキングしている間にメールで在庫照会が届き、フォークを降りれば返信もできず、手が空けば出荷の追加依頼と納品書の再発行がたまっている。どの在庫をどう引き当て、その日出せるか、庫内をどう回すかを決める仕事は、在庫と現場を知る人にしかできません。仕組みに預けられるのは、その手前にある照会の受け止めや依頼の聞き取り、進捗への一次返信を、手が塞がる間に進めておけるかどうかです。倉庫は複数の荷主を同時に抱える仕事なので、鳴った照会を捌ききれるかが、荷主に選ばれ続けるかを左右します。

僕は足立区保木間で合同会社9Zを一人で営んでいて、フォークに乗ったことも、庫内で荷を捌いた経験もありません。それでも、一つの作業に没頭している最中に別の連絡が重なり、どれから手をつけるか捌ききれなくなる感覚は、自分の受付を一人で回していれば嫌でも起きます。手を借りれば回ると思って委託の数を足していった時期、先に増えたのは捌ける量ではなく、誰がどの連絡を受けたかを揃える手間でした。その手間に利益を吸われて伸び悩んだ。今は委託を一社に絞り、判断のいらない照会の一次受けだけをAIに預けています。取り次ぎに追われていた時間が空いて、稼ぎの額は同じまま、出ていくお金が減って利益が厚くなりました。荷主の数だけ照会が飛んでくる倉庫ほど、庫内の合間に落ちがちな一件を拾える受け皿が、荷主に選ばれ続ける力になります。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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