AI従業員コラム

Column

AI導入の相談は誰にすればいいのか

2026-08-20 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

中小企業のAI導入で最初に詰まるのは「何を任せるか」より「誰に相談すれば自社に合うか分かるか」で、相談先が思い当たらないまま止まりがちだ。相談先は、自社の業務を見てくれるか・全部でなく1業務を選んでくれるか・小さく試させてくれるかの3つで見分けられる。ITベンダーやシステム会社は「作る」のは得意でも、どの業務を任せるべきかを一緒に選ぶ役割とは別物だ。相談しても、いくらで受けるか・何を任せるかの最終判断は自分の手に残せる。だから、まず1業務を絞って小さく試せる相手を選べばいい。自社の受付をAIで回す一人社長・須賀龍平が、相談先の選び方と、判断は自分に残す線引きを解説する。

AI導入で最初に詰まるのは「誰に相談するか」

結論から言うと、中小企業のAI導入でつまずく最初の壁は、「何を任せるか」より「誰に相談すれば、自社に合うやり方が分かるのか」です。やってみたい気持ちはあっても、相談先が思い当たらないまま止まってしまう。ここを越えるコツは、立派な相手を探すことではなく、自社の業務を見て、任せる1つを一緒に選んでくれて、小さく試させてくれる相手を選ぶことです。

「AIを入れたい」と思ったとき、多くの人はまず何のツールを使うかを調べます。けれど本当に要るのは、ツールの一覧ではなく、自分の会社のどの仕事なら任せて効くのかを一緒に見てくれる相手です。相談先を役割で選べれば、「何から手をつけるか」は自然と決まっていきます。

なぜ相談先が思い当たらないのか

相談先が分からなくなるのは、AIという言葉が広すぎて、誰が自社の業務まで踏み込んで見てくれるのかが見えないからです。

ネットで調べると、ツールの紹介や事例は山ほど出てきます。でも、そのどれが自分の会社の受付や見積もり、問い合わせ対応に効くのかは、自社の中身を知らない記事には書けません。知り合いのIT業者に聞けばシステムは作れても、どの業務を任せるべきかまで一緒に考えてくれるとは限らない。かといって大きな会社に頼むには気後れするし、料金も読めない。こうして「相談する相手が思い当たらない」という一点で、多くの中小企業は動き出す前に止まります。何を任せるか自体の考え方はAI導入前の業務棚卸しはどこまで必要かに、始める順番は中小企業のAI導入で失敗しないための最初の一歩にまとめています。

相談先を見分ける3つの目安

立派さや規模で選ぶより、次の3つで見ると外しにくくなります。

一つ目は、自社の業務を見てくれるかです。ツールの説明から入る相手ではなく、「いま何にいちばん時間を取られていますか」と、こちらの仕事の中身から聞いてくれるか。二つ目は、全部ではなく1つを選んでくれるかです。「何でもできます」と広げる相手より、「まずこの業務だけ任せてみましょう」と絞ってくれる相手のほうが、たいてい実になります。三つ目は、小さく試させてくれるかです。いきなり大がかりな契約を求めず、1業務だけ動かして、合うか確かめさせてくれるか。この3つがそろう相手なら、話が具体から始まり、後戻りもききます。逆に、ツールの機能と料金の話ばかりが先に来る相手は、自社に合うかを見極める前に進んでしまいがちです。

ITベンダーやシステム会社と、何が違うのか

ここで一つ整理しておくと、ITベンダーやシステム会社と、AIの相談相手は、どちらが良い悪いではなく役割が違います。

システム会社は、決まった仕様のものを「作る」のが仕事です。作りたいものがはっきりしているなら頼れる相手です。いっぽう、AIの導入でつまずく中小企業の多くは、そもそも「どの業務を、どこまで任せればいいか」が決まっていません。ここで要るのは、作る力より、自社の仕事を見て任せる1つを選ぶ手前の相談です。この見立てを飛ばして「作る」に進むと、立派な仕組みができても現場で使われない、ということが起きます。RPAや既存の管理ツールとの違いも含めた考え方はAIとRPAは何が違うのかにまとめました。まず業務を選び、小さく試してから、必要なら作り込む——この順番が、中小企業には合っています。

相談しても、判断は自分の手に残る

相談先に任せると、会社の決めごとまで預けることになるのでは、と身構える必要はありません。

相談して決めるのは、どの業務を、どこまでAIに渡すか、という設計の部分です。いくらで受けるか、その依頼を受けられるか、お客さんに何を約束するか——こうした信用に直結する判断は、相談先に渡さず、自分の手に残せます。むしろ、任せる範囲を一緒に決めて、判断の要らない受付や聞き取りだけを外に出すことで、握るべき判断に自分の時間を回せるようになります。相談は主導権を手放す話ではなく、任せる線引きを一緒に引く話です。AIに任せた仕事の仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

よくある質問

ITに詳しくないのですが、相談してもついていけますか?

ついていけます。良い相談先は、ツールの用語からではなく、「いま何に時間を取られているか」という仕事の話から入ります。専門用語が分からなくても、自社の困りごとを話せれば十分です。むしろ、こちらが分かる言葉で説明してくれるかどうかが、相談先を見分ける手がかりになります。

知り合いのIT業者に頼むのと、どちらがいいですか?

作りたいものが決まっているならIT業者は頼れます。ただ、どの業務を任せるべきかから迷っているなら、業務を見て1つを選ぶ手前の相談ができる相手のほうが向きます。役割が違うので、いまの自社がどちらの段階かで選ぶといいです。

相談したら、契約や購入を急かされそうで不安です。

小さく試させてくれるかを目安にすると、その不安は避けやすくなります。1業務だけ動かして、合うか確かめてから広げられる相手なら、いきなり大きな契約を求められることは起きにくい。逆に、機能と料金の話が先に来て、試す前に契約を迫る相手は、いったん距離を置いていいと思います。

まだ何を任せたいか、自分でも決まっていません。それでも相談していいですか?

その状態こそ相談に向いています。何を任せるか決まっていないなら、業務を一緒に見て候補を絞るところから始めればいい。決めてから相談しなければ、ということはありません。むしろ、決まっていない段階で自社の仕事を見てくれる相手かどうかが、選ぶうえで大事です。

相談だけして、導入しない選択もできますか?

できます。相談は、任せる線引きを一緒に引いて、合うかを見極める場です。見極めた結果、いまは要らないという判断になっても構いません。小さく試して、合わなければ広げない——そう決められる相手を選べば、相談したら引き返せない、ということにはなりません。

まとめ

中小企業のAI導入で最初に詰まるのは、「何を任せるか」より「誰に相談すれば自社に合うか分かるか」です。相談先は、自社の業務を見てくれるか・全部でなく1業務を選んでくれるか・小さく試させてくれるかの3つで見分けられます。ITベンダーは作るのが得意でも、任せる1つを選ぶ手前の相談とは役割が違う。そして相談しても、いくらで受けるか・何を約束するかの判断は、自分の手に残せます。

僕自身、最初から任せる業務が見えていたわけではありません。会社を一人でやっていて、事務にも営業にも時間を取られ、AIに任せたいとは思うものの、何から手をつければいいのか、誰に聞けばいいのかが分かりませんでした。かつて人を増やして会社を広げようとしたときは、やり取りが増えてかえって利益が圧迫され、それも「どこを人に頼み、どこを自分で持つか」の見立てを欠いたまま数だけ増やしたからでした。そこで、いきなり全部を仕組み化しようとするのをやめ、繰り返しの多い受付や問い合わせの聞き取りといった、判断の要らない仕事から1つずつ切り出して試すことにしました。小さく渡して、ぶれないと分かってから次へ広げる。この進め方で、自分の会社の受付や事務の下ごしらえをAIに任せて回せるようになり、売上を落とさずに利益率のほうを改善できました。だからAI従業員という商品も、いきなり大きく作るのではなく、無料の診断で「どの1業務が向くか」を一緒に選ぶところから始める形にしています。相談先に迷ったら、業務を見て、1つを選んで、小さく試させてくれるか——そこを見てもらえればと思います。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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