AI従業員コラム

Column

業務の属人化をAIで解消する進め方

2026-07-03 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

業務の属人化とは、特定の人しか手順や判断が分からず、その人が抜けると業務が止まる状態のこと。中小企業では、問い合わせ対応・見積もり・請求といった事務が誰か一人に張り付き、マニュアルを書く時間もなくて放置されがち。AI従業員は、その人のやり方を書式や言い回しごと組み込んで、問い合わせの一次対応や見積もり・請求の下ごしらえを標準の形で回せるようにし、判断は人が持つ分担で属人化のリスクを下げる。人を増やしても引き継ぎコストで利益が圧迫される構造でつまずいた一人社長・須賀龍平が経営者目線で解説します。

業務の属人化は、標準化の手間を減らせるかで決まる

業務の属人化を解消できるかどうかは、「その人のやり方を、本人の手を止めずにどう形にするか」で決まります。マニュアルを一から書く時間が取れないから属人化が放置されるので、そこをAIに肩代わりさせるのが現実的な一手です。

まず属人化とは何かを一文で言うと、特定の人しか手順や判断が分からず、その人が休んだり辞めたりすると業務が止まる状態のことです。中小企業では、問い合わせ対応、見積もり、請求、顧客とのやり取りといった業務が、気づけば誰か一人に張り付いている。その人の頭の中にしか手順がないので、他の人に振れず、本人も抜けられない。悪気なく、日々回しているうちにそうなります。

僕自身、この問題を組織拡大の局面で痛感しました。足立区保木間で合同会社9Zを一人で経営していますが、以前、業務委託で人を増やしたとき、増えた人に仕事を渡すたびに「これはこの人しか分からない」という業務が増え、引き継ぎと確認のやり取りで利益が圧迫されました。属人化は、一人でも、人を増やしても、どちらでも起きるのだと分かりました。

なぜマニュアルを作っても属人化は解消しないのか

マニュアルで解消しにくいのは、書く時間が取れないうえ、書いても更新されず、判断の部分が言葉にしづらいからです。

属人化を解消しようとして、多くの会社がまず「マニュアルを作ろう」と考えます。ただ、現場で回っている中小企業では、この時点で二つの壁にぶつかります。一つは、本人が忙しくてマニュアルを書く時間がないこと。属人化するほどその人は多忙なので、手順を書き起こす余裕がない。もう一つは、書いても業務のやり方は少しずつ変わるので、マニュアルがすぐ古くなること。さらに、属人化した業務の核心はしばしば「どう判断するか」にあり、これは手順書に落としにくい。結果として、マニュアルづくりは後回しになり、属人化はそのまま残ります。一人に業務が集中する構造は一人経理が限界になる前にやるべきことでも扱っています。

だから、属人化の解消は「完璧なマニュアルを人が書く」よりも、「今のやり方をそのまま仕組みに写し取って、標準の形で回せるようにする」ほうが現実的です。

AIに「その人のやり方」を写し取らせる

属人化を下げる近道は、その人が普段使っている書式・言い回し・段取りを、本人の手を止めずにAIへ組み込むことです。

問い合わせへの一次対応、見積もりのたたき台づくり、請求書の下書きといった業務は、その人ならではの「型」があります。どんな言い回しで返すか、どの項目を確認するか、どういう順番で進めるか。AI従業員には、この型を書式や言い回しごと組み込めます。そうすると、その人が対応していたのと同じ形で一次対応や下ごしらえが回るようになり、業務が特定の人の頭の中だけに閉じなくなる。本人はマニュアルを書く必要はなく、いつものやり方を一度組み込むだけです。金額の決定や重要な判断は引き続き人が持ちますが、「その人でないと着手すらできない」状態からは抜け出せます。判断は人、準備はAI、という分担です。

これは、その人を置き換える話ではありません。その人が休んでも止まらない、他の人でも確認して送れる、という「止まらない形」を作る話です。

属人化を下げるためにAIに任せられる業務の例

金額や重要な判断は人の手元に残ります。この分担の全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。担当者が抜けても連絡を取りこぼさない考え方は電話の取りこぼしをAIの一次対応で防ぐ方法でも扱っています。

よくある質問

属人化した業務の「判断」までAIが代われますか?

いいえ。金額の決定や重要な判断は人が持ちます。AIが担うのは、その手前の一次対応や下ごしらえを、担当者のやり方に沿って標準の形で回せるようにするところです。判断の部分は人に残しつつ、着手や準備が特定の人に依存しない形を作ります。

マニュアルがなくても導入できますか?

できます。むしろマニュアルを書く時間がないから属人化が残っているケースが多いので、担当者の今のやり方を一度組み込む形にしています。一から手順書を書き起こす必要はありません。

担当者が非協力的だと難しいですか?

負担は小さく設計できます。新しい手順を覚えてもらうのではなく、その人が普段使っている書式・言い回しをそのまま組み込むので、本人の手を大きく止めずに進められます。

人を採って引き継ぐのとどちらがいいですか?

順番の問題です。先に一次対応や下ごしらえをAIで標準化しておくと、引き継ぎに必要な「型」が形になり、後から人を採る場合の教育コストも下げられます。

パソコンが苦手でも使えますか?

使えます。今使っているLINEやメールをそのまま入口にして、裏側でAIが動く形が基本です。新しいアプリを覚える前提にはしません。

まとめ

業務の属人化は、担当者の抱え込みが原因というより、「今のやり方を形にする時間が取れない」という構造から残り続けます。完璧なマニュアルを人が書くのを待つより、今のやり方をそのまま仕組みに写し取って、止まらない形にできるかが分かれ目です。

僕は組織拡大の局面で、人を増やすほど「この人しか分からない業務」が増え、引き継ぎと確認のコストで利益が圧迫される経験をしました。今は業務委託を1社に絞り、人がやるべき判断以外をAIに任せて、標準の形で回せるようにしたことで、売上を落とさずに利益率を改善できています。特定の人に業務が張り付いて抜けられない構造は、多くの中小企業で同じだと考えています。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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