AI従業員 / コラム

Column

自動車陸送の依頼受付をAIで軽くする

2026-10-02 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

自動車陸送でAI従業員に任せられるのは、配車の空きの確約、料金、納期の確定を人に残したまま、陸送依頼の一次受け、車種・台数・出発地・納車先・希望日・運搬方法・連絡先の聞き取り、既存取引先の照合、繰り返しの質問への一次案内まで。依頼はドライバーが車を積んで走っている最中に電話やFAXで届き、運転中の本人には手が出せない。しかも「運べる空きがあるか」の配車確認と「いつ届くか」の日程調整という別の相談が一本に混ざって受付を止める。受付役を人で補えば人件費が利益を削るため、聞き取りの下ごしらえを仕組みへ寄せ、人は配車と見積もりの判断に集中する。業務委託で手を広げたら利益が先に細った経験から一次対応をAIへ移してきた須賀龍平が、事務に追われる陸送会社の経営者向けに解説する。

自動車陸送の依頼受付、AIに任せられるのはどこまでか

任せられるのは、運べる空きがあるかの確約、料金、いつ届けられるかの確定を人に残したまま、陸送依頼の一次受け、車種・台数・出発地・納車先・希望日・運搬方法・連絡先の聞き取り、既存取引先かどうかの照合、繰り返しの質問への一次案内までです。配車がつくか、いくらで運べるかは、トラックの空きと距離を把握した人でないと答えられないので、AIはその手前で、判断に要る材料をそろえる役に徹します。

AI従業員とは、ここでは、いまの電話・メール・FAXをそのまま入口にして、陸送の相談を受け止め、手配に必要な項目を型どおり確かめ、抜けを埋めておく下働きの仕組みを指します。運べるか、いくらで、何日に。この三つの確定は、これまで通り人が握ります。

なぜ陸送の受付で、電話が取りこぼれるのか

運ぶ人と受ける人が同じだからです。ハンドルを握っている間は、どうしても電話に手が出せません。

少人数の陸送会社では、積み込み・移動・引き渡しを回すドライバー本人が、受付も兼ねていることが多いと聞きます。高速を走っている最中や、納車先で車を降ろしている最中に着信が鳴っても、安全に受けられる状況は限られる。一方で依頼を出すディーラーや中古車販売店、オークション業者の側は、車が売れた直後や落札が決まった瞬間に「すぐ動かしたい」と連絡してきます。つまり、手がふさがっている時間帯ほど、急ぎの依頼が重なりやすい。折り返したころには、相手はもう別の業者に頼み終えていた、ということが起こります。トラックに空きはあったのに、受話器を取れなかったせいで一台分が流れる。電話の一次対応が落ちる仕組みそのものは電話の取りこぼしをAIで減らす考え方でも扱っています。

「空きがあるか」と「いつ届くか」は、分けて受けると速い

陸送の依頼は、一見ひとつの相談に見えて、中身は二層に分かれています。

手前にあるのが「その区間を運べるトラックが空いているか」という配車の問い。その奥にあるのが「いつ積んで、いつ着くか」という日程の問いです。前者は配車表と帰り便の埋まり方を、後者は各車の動き方を見て初めて答えられる。別々の材料がいるのに、電話では両方いっぺんに聞かれるので、片方を保留にして折り返す往復が生まれます。この往復が、受付を長引かせる一因になりがちです。AIに入口を持たせると、二つの問いを最初に仕分けし、車種・台数・出発地・納車先・希望日・運搬方法を順に埋めて渡してくれる。人は聞き直しから始めずに、そろった一枚を見て配車と日程をまとめてさばけます。

AI従業員に任せられる業務の例

配車と見積もりの判断の、ひとつ手前を埋めておく役どころです。

空きがつくか、いくらで運ぶか、何日に届くか——この線から先は、必ず人が決めます。AIは材料をそろえて渡すところで止まり、可否と値決めには踏み込みません。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。軽い荷物の配送まで間口が広いなら軽貨物・配送業の受付と事務をAIで軽くするの考え方も合わせて使えます。

導入の流れ

手をつける順番は、往復がいちばん多い一区間からです。陸送なら、依頼を受けてから配車と日程を判断できるだけの情報がそろうまでの聞き取りが、たいていそこに当たります。

入口は今の電話・メール・FAXのままで構いません。届いた相談をAIが文字に起こし、車種・区間・希望日・運搬方法の順に並べ、抜けた項目だけを一次で確かめる。この形で走り出し、2〜14日ほど様子を見ると、取りこぼしやすい項目や、折り返しが増える場面の癖が浮かんできます。そこへ聞き取りの順番を合わせ込んでいく。狙いは依頼を選別して減らすことではなく、どの相談からも同じ水準で材料をそろえ、人が配車と見積もりに回せる時間を取り戻すことです。

よくある質問

配車がつくかどうかまで、AIが答えてしまいませんか。

答えさせません。空きは帰り便の有無や当日の入り方で動くので、配車表を見る人にしか確約できません。AIは「区間と希望日をうかがって、空きを確認のうえ折り返します」と受けて、材料を整えるところまで。運べるか否かの返事は、表を見た人が出します。

料金や納期を、AIが勝手に約束しませんか。

しません。料金は距離・車種・運搬方法で変わり、納期は配車の組み方で動きます。どちらの確定も人の仕事です。AIは希望を聞き取って並べるだけで、「いくら」「いつ」の線は人に残します。

電話が多く、FAXの手配書も混ざります。まとめて拾えますか。

拾えます。電話を文字に起こし、メールやFAXの手配書と同じ並びに整えるので、入口がばらけていても一覧で見渡せます。どこから来た依頼でも、車種・区間・希望日を同じ型にそろえるため、人はまとめて段取りを組めます。

動かない事故車や、鍵のない車の相談もあります。対応できますか。

一次の聞き取りはできます。「自走できるか」「鍵はあるか」を先に確かめて並べておけるので、人は積み方や道具の要否を早く見極められます。ただし実際に運べるかの可否は、状態を踏まえて人が判断します。AIは条件を聞きそろえるところまでです。

一人や少人数で回しています。効果はありますか。

小さな体制ほど、この詰まりは表に出やすいです。走っている本人が受付も担うと、手を止めるか取りこぼすかの二択になりがちだからです。一次受けが先に済んでいれば、車を降りた時にそろった材料を見て返すだけになる。受付のために頭数を増やすと利益が削られるので、下ごしらえを仕組み側へ寄せるのが先です。

まとめ

陸送で電話を取りこぼすのは、対応がぞんざいだからではありません。運ぶ人と受ける人が同じで、急ぎの依頼ほど手のふさがった時間に集まり、しかも配車と日程という別の問いが一本に重なるからです。ここで受付役を人で補えば、その人件費が今度は利益を圧す。だから入口の一次受けと聞き取りはAIに持たせ、配車・料金・納期の判断は人に残す。この分け方なら、依頼を減らさずに、さばく時間のほうを確保しやすくなります。

僕は現場で車を運んだことはありません。ただ、一人で会社を切り盛りしていると、手がふさがった一瞬に話が逃げる感覚は痛いほど分かります。かつての僕は、会社を伸ばそうと業務委託で頭数を足していました。実際に増えたのは、進み具合をすり合わせる連絡と、付いて回る書類のほう。売上は動かないのに、利益だけが先に薄くなっていったのです。だから委託は一社に畳み、判断を伴わない一次受けはAIへ預けました。うちの会社でも、営業や問い合わせの一次対応はAIに回し、僕は決める工程だけを握っています。陸送のどこで受話器が取れずに止まっているのか、15〜30分の無料診断で一度ほどいてみませんか。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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