AI従業員コラム

Column

生鮮卸の受注と事務をAIで軽くする方法

2026-07-28 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

青果・鮮魚をはじめとする生鮮卸の受注が詰まりやすいのは、飲食店や小売からの注文が早朝や前日夜に電話・FAX・LINEでバラバラに届くのに、仕入れの締め時間までに少人数でまとめきらなければならないという構造にある。AI従業員は、届いた注文の一次受けと品目・数量・納品先ごとの整理、定番注文の照合、返信文の下書き、未確定分の洗い出しまでを裏側で進め、当日の相場や価格の決定、仕入れの判断、与信は人が持つ分担で回す。足立区で一人会社を営む須賀龍平が、自社の受発注まわりをAIに任せてきた経験から、生鮮卸の受注を人を増やさず軽くする考え方と任せられる業務、導入の流れを整理する。

生鮮卸の受注は、人を増やさずに軽くできる

青果や鮮魚などの生鮮卸で受注が詰まる根本は、担当者の処理速度ではなく「早朝や前日夜の注文が、電話・FAX・LINEとバラバラの入口から届くのに、仕入れの締め前までに少人数でまとめきらなければならない」という構造にあります。この注文をまとめる部分は、相場や価格の判断を人に残したまま、AIに任せて軽くできます。

はじめにお伝えしておくと、僕は市場やセリの現場を経験したわけではありません。ここで書くのは、仕入れの目利きや相場を読む話ではなく、あくまで「受注と事務」の話です。生鮮を扱う卸の受発注の流れを踏まえて、注文をまとめるところの詰まりどころに絞って書きます。

なぜ生鮮卸の受注は締め前に集中して詰まるのか

注文が複数の入口からバラバラに届くのに、仕入れの締め時間という動かせない期限が毎日あるからです。

生鮮卸は、飲食店や小売店から「明日の分」を前日の夜や当日の早朝に受けることが多く、その連絡が電話・FAX・LINE・メールと入口ごとに散らばります。担当者は、市場での仕入れやセリに動きながら、あるいは早朝の配送準備をしながら、これらを一つの発注リストにまとめなければなりません。締め時間を過ぎれば仕入れに反映できず、欠品や代替品の連絡が必要になる。FAXの手書き文字が読みにくい、電話で聞いた数量をメモし損ねる、LINEの注文を見落とす——こうした小さなズレが、そのまま誤配や欠品につながります。

しかも生鮮は、当日の相場で価格が動きます。同じ品でも日によって仕入れ値が変わるため、注文を受ける段階では数量をそろえるだけで手一杯になり、価格の確定は仕入れ後、という段取りになりがちです。早朝の限られた時間に、散らばった注文を正確に拾い、締めに間に合わせる。この一点に、少人数・家族経営の卸ほど神経を使っています。紙のFAX注文をデジタルに移す考え方はFAXの紙をデジタルに変えて事務を軽くするでも扱っています。

判断は人、注文の下ごしらえはAIという分担

ここで大事なのは、AIに相場の読みや価格の決定を任せようとしないことです。当日の仕入れ値、売り値の決定、品質の見極め、どの取引先をどこまで受けるかの与信——こうした判断と責任が伴う部分は、人が握り続けます。

AI従業員が担うのは、その手前です。届いた注文を入口を問わず受け取って整理する、品目・数量・納品先ごとに並べ替える、いつもの定番注文と照合して抜けを見つける、受付や欠品連絡の返信を下書きする。人が「確認して、価格を入れて、仕入れに回すだけ」の状態を裏側で整えておく、という分担です。相場や品質の判断には踏み込まず、注文の下ごしらえだけを引き受けます。

AI従業員に任せられる業務の例

受注や配達まわりの事務を業種横断で見た整理は食品卸の受注・配達の事務をAIで軽くするにまとめています。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

導入の流れ(2〜14日が目安)

STEP 1 無料診断+1業務の無料AI従業員化: LINEでご連絡いただければ、いまの注文がどの入口から届いて、どこで締めに間に合わなくなっているかを一緒に整理します。費用はかかりません。

STEP 2 業務確認・設計: 定番注文の照合や集約のうち、どれをAIに渡すか設計します。相場や価格の判断は人に残す形で、はっきり分けます。

STEP 3 構築・試験運用(2〜14日目安): 今お使いのLINE・FAX・メールのまま、裏側にAIを組み込みます。実際の締めの流れに合うか、小さく動かして確認します。

STEP 4 本格稼働: 日常業務の一部としてAIが動き始めます。月1回の見直しで、取引先ごとの定番や返信の文面を、実際の受注に合わせて整えます。

よくある質問

うちはFAXと電話の注文がほとんどです。それでも使えますか?

使えます。FAXや電話メモの注文も、AIが受け取って一つのリストに集約し、品目や納品先ごとに並べ替える下ごしらえができます。手書きの読み取りには限界があるので、あやしい箇所は「要確認」として人が見る形にし、締め前の抜けを減らします。

当日の価格までAIが決めてしまうのですか?

いいえ。価格は当日の相場を見て人が決めます。AIは注文の集約と整理、受付連絡の下書きまでで、売り値や仕入れの判断には立ち入りません。価格の案内は、人が確認してから返す形にします。

欠品や代替品の連絡もAIに任せられますか?

連絡文の下書きまでを任せられます。どの品を欠品にするか、何を代替にするかの判断は人が行い、AIはその決定にもとづいた連絡文を御社の言い回しで用意します。送信前に人が目を通す形にします。

取引先ごとに注文の癖が違います。対応できますか?

対応できます。取引先ごとの定番注文や単位、締め時間の違いを覚えさせられるので、その癖に合わせて照合や整理ができます。癖の多い取引先ほど、下ごしらえを裏側に持たせる効果が出やすいです。

早朝の時間帯でも動きますか?

動きます。届いた注文を時間帯を問わず受け取って整理しておけるので、早朝に人が動き出したときには、集約されたリストが手元にある状態を目指せます。

まとめ

生鮮卸の受注がきついのは、担当者の手際ではなく「早朝や前日夜の注文が、複数の入口からバラバラに届くのに、締めまでに少人数でまとめきらなければならない」構造から来ています。当日の相場で価格が動くぶん、受注の段階では数量をそろえるだけで手一杯になる。それなら、相場や価格の判断は人に残したまま、注文の集約と整理を仕組みに持たせられるかが分かれ目です。

僕は足立区保木間で合同会社9Zを一人で経営し、自分の会社に来る問い合わせや連絡の一次受け、返信の下書きをAIに任せて回してきました。会社を伸ばそうと業務委託の数を増やして「組織」に寄せた時期は、頼んだ内容のやり取りと進捗の確認に時間を取られ、書類も人数に比例して増え、利益が薄くなっていく感覚がありました。今は委託を一社に絞り、判断のいらない一次受けや事務の下ごしらえはAIに回しています。締め時間という動かせない期限に少人数で追われる感覚は、業種は違っても、早朝に注文をさばく生鮮の卸の方と重なる部分があると思っています。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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