AI従業員 / コラム

Column

接客中に電話が鳴っても取りこぼさない形にする

2026-10-03 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

接客中に鳴る電話をAIで取りこぼさない形にするとは、接客の質や受注の判断、予約枠の確定を人に残したまま、目の前の客に向き合っている間にかかってくる電話を、AIが一次で受け止め、用件と連絡先を聞き取って並べておくこと。対面の客と電話の客が同時に来ると、一人や少人数の店では必ず片方を失う。出れば接客が止まって目の前の客の心証を損ね、出なければ電話の客を逃す。この二者択一を、受付の下ごしらえだけ仕組みへ寄せて緩める。これは取りこぼしをゼロにする話ではなく、片方を切り捨てる場面を減らす話。人を増やしてコミュニケーションのコストで利益がやせ、委託を一社に絞ってAIに実務を預けた須賀龍平が、対面と電話に挟まれる経営者向けに解説する。

接客中に鳴る電話を取りこぼさないとは、どういうことか

これは、接客の質と受注の判断を人に残したまま、目の前の客に向き合っている間にかかってくる電話を、AIが一次で受け止め、用件と連絡先を聞き取って並べておく、という話です。あらかじめ補っておくと、取りこぼしをゼロにする話ではありません。対面の客と電話の客が重なったときに、どちらかを切り捨てる場面を減らす、という意味です。

AI従業員とは、いま使っている電話やフォームの裏で、手が離せない時間にかかってきた連絡を受け止め、用件を型どおり聞き取って、人が折り返しやすい形に整えておく仕組みのことです。何を売るか、いくらで請けるか、どの枠に入れるかは、これまで通り人が決めます。受け口を一つ増やして、同時に来た連絡を宙に浮かせない。それがこの仕組みの役どころです。

なぜ、目の前の客と電話の客は、両立できないのか

一人や少人数の店では、体も口も一つしかないからです。

接客は、相手の顔を見て、間を取りながら進める仕事です。その最中に電話が鳴る。出れば、目の前の客を待たせ、会話の流れが切れる。「すみません」と断って受話器を取った瞬間、さっきまでの心証はいくらか冷めます。かといって出なければ、電話の客は呼び出し音の向こうで待たされ、何回か鳴らして切れてしまう。折り返そうにも、相手が誰かも分からない。どちらを選んでも、必ず片方を手放すことになります。しかも電話は、たいてい接客がいちばん立て込んだ時間に重なる。混んでいるから店に活気がある、まさにその時間に、取りこぼしも起きているわけです。人を一人増やして電話番に置けば解けますが、その人件費は、売上が変わらないまま固定費としてのしかかります。

「集中を奪われる」と「もう片方を失う」は、別の詰まり

電話に悩むと一口に言っても、つらさの出どころは二つに分かれます。

一つは、電話のたびに手元の作業や思考が中断して、本業が進まないつらさ。これは一人で事務や制作をしている時間に効いてきます。こちらの考え方は電話の中断で本業が進まない悩みをAIで軽くするにまとめました。もう一つが、この記事で扱う、対面の客と電話の客が同時に来て、必ずどちらかを失うつらさです。前者は「質」の問題、後者は「取りこぼし」の問題で、効かせどころが違います。接客中の二者択一を緩めたいなら、手が離せない時間の電話を一次で受け止め、用件と連絡先だけでも取っておくこと。そもそも電話に出られず問い合わせを逃している段階なら問い合わせの取りこぼしをAIで防ぐ方法も参考になります。

AI従業員に任せられる業務の例

接客の手前でも最中でもなく、その裏で、かかってきた電話を受け止めて並べる役です。

何を売るか、いくらで請けるか、どの枠に入れるかは、必ず人が決めます。AIは電話を受けて用件をそろえるだけで、接客と判断は人の手元に残します。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

導入の流れ

最初に移すのは、いちばん切り捨てが起きている場面です。多くは、接客中にかかってきて出られなかった電話の受け口になります。

いま使っている電話番号は、そのまま入口にします。接客中などで出られなかったときに、AIの一次受けへ回る形にして、用件・希望日時・連絡先を型どおり取っておく。2〜14日ほど動かすと、どの時間帯に取りこぼしが集まり、どんな用件が多いかが見えてくるので、そこから聞き取りの型と案内の文面を店に寄せます。狙いは、電話をすべて自動で片づけることではなく、接客を中断しなくても電話の客を宙に浮かせずに済む、その逃げ道を一本つくることです。

よくある質問

結局、折り返しは自分でするなら、手間は変わらないのでは。

変わります。折り返しそのものは人がするとしても、「誰が・何の件で・いつがいいか」が先にそろっているかどうかで、かかる時間がまるで違います。相手も要点を一度話しているので、折り返しの電話が短くて済む。何より、接客を中断せずに電話の客をつかまえておける、という切り捨てを減らす効果のほうが大きいです。

電話に出ないと、冷たい店だと思われませんか。

出られないまま鳴らし続けて切られるより、一次で受け止めて「のちほど折り返します」と伝わるほうが、印象はよくなります。すべてをAIに委ねる必要はありません。出られる時は今まで通り自分で出て、接客で手が離せない時だけ一次受けに回す、という形にできます。

どんな用件の電話が来るか分からず、型にできる気がしません。

何もかもを型にはめる必要はありません。多くの電話は、場所や営業時間の確認、予約や見積もりの相談、折り返しの依頼など、用件のいくつかに偏っています。まずは多い用件だけを決めた範囲で一次受けし、外れたものは「担当から折り返します」で人へ渡せば足ります。動かすうちに、型にできる範囲は広がっていきます。

予約や受注まで、AIが勝手に進めてしまいませんか。

進めさせません。AIがするのは、用件と希望、連絡先を聞き取って並べるところまでです。実際に予約を確定するか、受注するか、いくらで請けるかは、必ず人が最後に決めます。確約や値付けをAIに返させることはしません。

一人で店をやっています。入れる意味はありますか。

その規模ほど効きます。人を雇って電話番を置くと、売上が変わらないまま人件費だけが増えます。手が離せない時間の一次受けを仕組みにしておけば、その判断を先延ばしにでき、接客と電話の二者択一を一人のまま緩められる。人を増やす前に、まず受け口を一本足しておくのが、利益を守る順番です。

まとめ

接客中に電話を取りこぼすのは、要領が悪いからではありません。体も口も一つしかないのに、対面の客と電話の客が同じ時間に来るからです。出れば接客が止まり、出なければ電話の客を逃す。この二者択一を、人を雇って解こうとすると固定費が利益を削る。だから手が離せない時間の電話の一次受けと聞き取りをAIに持たせ、接客・受注・予約の確定は人に残す。これは取りこぼしをゼロにする話ではなく、片方を切り捨てる場面を減らす話です。

僕は店先で対面の接客をする商売ではありませんが、一つの用事に向き合っている最中に別の連絡が割り込んでくる感覚なら、会社を一人で回していて毎日のように味わっています。かつての僕は、手が回らなくなったら人を足せばいいと思い、業務委託で頭数を増やした時期がありました。けれど実際に膨らんだのは、任せた相手との連絡と段取りのほうで、売上は変わらないのに利益だけが先に細っていった。だから今は委託を一社に絞り、割り込みの一次受けはAIに預け、自分は目の前の相手に向き合う時間を守っています。接客の最中に鳴る電話に挟まれているなら、どの時間帯でどちらを切り捨てているか、15〜30分の無料診断で一緒に洗い出しましょう。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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