人手不足は、パート採用とAIのどちらで埋めるべきか
人手が足りない時にパートを採るかAIに任せるかは、どちらか一択で選ぶ話ではありません。先に仕事を「判断の要るもの」と「手順の決まった繰り返しの作業」に分け、前者は人に、後者はAIに寄せる——この線引きから入るのが結論です。
僕は足立区で合同会社9Zを一人で回している経営者です。かつては「人を増やせば会社は伸びる」と信じて業務委託を次々に増やし、組織の形で広げようとしました。ところが起きたのは逆のことで、人が増えるほど連絡や調整のやり取りが増え、頼むための書類仕事まで膨らんで、売上が伸びる前に利益のほうが先にやせていった。そこで人を増やす方向を止め、業務委託は一社に絞り込んで、判断以外の作業をAIに任せる形に切り替えたら、売上を大きく変えないまま利益率を立て直せました。この経験から言えるのは、「人を足すか、道具を足すか」を金額だけで比べると、見えないコストを見落とすということです。
パート採用の、時給に載らないコスト
パート採用の負担は時給だけではありません。募集・面接・教育・シフト調整・定着という、表に出にくいコストが後から効いてきます。
これは、実際にパートを雇っている経営者からよく聞く話です。一人採るには、まず募集を出し、応募を待ち、面接をして、採否を決める。入ってからも、仕事を教える時間が要り、慣れるまでは現場の手が取られます。シフトの調整も続くし、繁忙期に合わせて増やした人手は、閑散期には仕事が薄くなる。そして何より、せっかく育った人が辞めれば、また募集からやり直しです。事務員がそもそも採れないという悩みは根深く、事務員が採用できない中小企業の、もう一つの選択肢にも書きました。採用そのものが難しい時代に、採って・教えて・引き留める一連の負担まで含めて考えると、「一人増やす」の重さは時給の数字よりずっと大きくなります。
AIが向く仕事と、人にしか任せられない仕事
線引きの基準はシンプルで、「毎回だいたい同じ手順で進む作業」はAIが得意、「その場の判断や、相手の機微を読む対応」は人にしかできない、というものです。
AIが向くのは、問い合わせの一次受け、希望日時や内容の聞き取り、複数の窓口に散らばった連絡の集約、案内文の下ごしらえといった、手順の決まった繰り返しの作業です。深夜でも早朝でも、疲れても機嫌が変わることなく、同じ精度で回り続ける。一方で、値付けや受入の可否を決める、初めてのお客さんの不安をくみ取る、込み入った苦情を収める、現場で臨機応変に動く——こうした仕事は、人にしかできません。採用以外で人手不足に向き合う考え方の全体像は、人手不足を採用以外の方法で解決するにまとめています。
大事なのは、どちらが優れているかではなく、仕事の性質で振り分けることです。繰り返しの作業を人にやらせ続けると、人にしかできない仕事に回す時間が奪われる。逆に、判断の要る対応までAIに押し付けると、雑になって信用を損なう。性質に合わせて置く場所を変えるだけで、無理なく回り始めます。
多くの中小企業には「併用」が現実的
結論として、多くの中小企業に現実的なのは、パートを採るか採らないかで悩む前に、毎日ある受付や聞き取りをまずAIに渡してみることです。それでも人手が足りなければ、そのとき初めてパートを採ればいい——「判断は人、繰り返しの作業はAI」を土台に、採用はその後で考える順番です。
たとえば、いまいる一人か二人の人手は接客や判断といった人にしかできない仕事に集中してもらい、その手前の一次受けや聞き取り・集約はAIに寄せる。こうすると、人を増やさずに、いまの人が本来やるべき仕事に時間を戻せます。新しくパートを採るとしても、繰り返しの事務を先にAIへ渡しておけば、採る人数を抑えられるし、教える範囲も狭くて済む。今お使いのLINEやメール・フォームの裏側に組み込む形なので、道具を増やす必要もありません。任せられる範囲はAI従業員のサービス紹介で確認できます。
AI従業員に任せられる業務の例
- 問い合わせの一次受け:LINE・メール・フォームに届いた連絡を、時間帯を問わず受け取り、内容ごとに仕分けて一覧に並べる
- 聞き取りの下ごしらえ:希望日時や用件など、毎回確認する項目を決まった手順で聞き返す一次返信を下書きする。送信は人が行う
- 窓口の集約:複数の窓口にばらばらに届く連絡をひとつの表にまとめ、返信漏れをすくい上げる
- シフト・出退勤まわりの一次受け:パートやアルバイトからの欠勤・遅刻の連絡や希望シフトの申告を受け取り、表に集約する。急な穴が出たときの、他の人への打診文まで下書きする
受入や価格の判断、込み入った対応、そして送信は、必ず人の手に残します。
よくある質問
結局、パートを採るよりAIのほうが安いということですか。
単純な金額比較ではありません。伝えたいのは、パート採用には時給以外に募集・教育・定着の負担が乗るということと、繰り返しの作業ならAIのほうが向く、ということです。判断や接客は人に残す前提なので、多くの場合は「どちらか」ではなく、性質で振り分けた併用が現実的になります。
人を減らすためにAIを入れることになりませんか。
減らすために入れるのか、いまの人が本来やるべき仕事に時間を戻すために入れるのかは、最初に決める話です。後者なら、繰り返しの作業をAIに渡すぶん、人は接客や判断に集中できます。人を減らすかどうかは、それとは別の経営判断です。
繁忙期だけ人手が要ります。AIでも波に対応できますか。
繁忙期に問い合わせや受付が集中するなら、その一次受けはAIが得意な部分です。人を繁忙期に合わせて増やすと閑散期に持て余しますが、AIは波があっても同じように受け続けます。現場で手を動かす人手が要る部分は、引き続き人で手当てする形になります。
うちの仕事は覚えることが多く、AIに任せられる気がしません。
覚えることが多い仕事ほど、その中に「毎回同じ手順で進む部分」——電話の一次受けや、届いた連絡の転記といった作業が混ざっているものです。全部ではなく、その繰り返しの部分だけを切り出して渡すのがコツです。判断の要る中心の仕事は、これまで通り人が持ちます。
まず何から考えればいいですか。
いまの仕事を「判断の要るもの」と「繰り返しの作業」に分けてみるところからです。後者のうち、いちばん後回しになっている一つを見つけて、そこをAIに試す。人を採る前にこの棚卸しをするだけで、採る人数も教える手間も変わってきます。
まとめ
人手不足をパート採用で埋めるかAIで埋めるかは、どちらか一択の問いではありません。パート採用には時給に載らない募集・教育・定着のコストがあり、AIには繰り返しの作業を疲れずに回せる強みがある。だから多くの中小企業には、判断や接客を人に残し、手順の決まった作業をAIに寄せる併用が現実的です。
僕自身、人を増やすことを成長だと信じて回り道をし、そのうえで判断以外をAIに任せる形へ切り替えました。人を足すのか、道具に任せるのか——金額の大小だけで決めると、時給に載らないコストを見落とす。これは回り道で痛い目を見て学んだことです。御社の仕事のどこを人に残し、どこをAIに寄せられるか、15〜30分の無料診断で一緒に洗い出してみませんか。
診断後、AI化しやすいと判断した1業務は、簡易版のAI従業員として無料で作ります。