AI従業員コラム

Column

イベント設営の見積もり対応をAIで軽くする

2026-07-23 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

イベント設営・音響照明の会社がAI従業員に任せられるのは、吊り込みや電源容量といった安全に関わる可否、人員と機材を当日に回せるかどうかの判断、金額の決定を人に残したまま、問い合わせの一次受けと会場条件の聞き取り、見積もりの下ごしらえ、当日進行に必要な情報の集約だけである。この商売は一件ごとに会場も規模も違うため、見積もりを出す前に会場名・搬入経路・エレベーターの有無・天井の高さ・電源容量・当日のタイムテーブル・来場人数といった長い聞き取りが必要になる。ところが相談が届くのは平日の日中であり、その時間帯の担当者は別の現場で朝から仕込みに入っていて電話にも出られない。開催日が動かせない仕事なので、返事が半日遅れるだけで他社に決まる。AI従業員は、LINE・メール・フォームに届いた相談を受け取り、会場と日程と必要な設備の条件をそろえて並べ、見積書の形まで下ごしらえする。安全の可否と金額は人が決める。社員を持たない会社を足立区で回している須賀龍平が、当日仕事の受付をどこまで前倒しできるかという観点でまとめた。

イベント設営や音響照明の問い合わせは、AIに任せられるのか

任せられます。ただし吊り込みや電源容量といった安全に関わる可否、当日に人と機材を回せるかどうかの判断、金額の決定を人に残したまま、相談の一次受けと会場条件の聞き取り、見積もりの下ごしらえまでに限られます。

AI従業員とは、LINE・メール・フォームから届いた「来月の展示会でブースを組みたい」「ホールで音響と照明をお願いしたい」「屋外イベントでステージと電源が要る」といった相談を受け取り、会場名と住所、開催日と時間、搬入と搬出に使える時間帯、搬入口とエレベーターの有無、天井の高さ、使える電源の容量、想定の来場人数、当日のタイムテーブル、必要そうな機材の目安を聞き取って整理し、見積書の形に近いところまで組み立てる仕組みを、いま使っている連絡先の裏側に組み込むものです。吊り込んでいいのか、その電源で足りるのか、その日程で人と機材を押さえられるのか、いくらで受けるのかを決めるのは担当者と有資格者なので、そこは動かさず、決めるための材料を集める部分だけを渡す形になります。

なぜイベントの相談は、一番動けない日に限って届くのか

問い合わせが集中する平日の日中は、こちらが別の現場で朝から仕込みに入っている時間そのものだからです。

イベントの仕事は、当日と前日に負荷が寄ります。朝に機材を積んで会場入りし、仕込み、リハーサル、本番、そのまま深夜のばらし。その間、担当者はケーブルを這わせたり脚立に上がったりしていて、電話を持てません。ところが新規の相談は、主催者側が動く平日の昼に届きます。しかもイベントには「その日にやる」という動かせない期限があるので、相手は返事の早い会社から順に検討を進める。半日返事が遅れれば、その分だけ選考から外れやすくなります。

さらにこの商売は、見積もりを出すまでに聞くことが多い。会場が変われば搬入経路も電源も天井高も全部変わるので、前回の案件の数字が使えません。「予算はいくらですか」の一往復では終わらず、会場図面や進行表を見せてもらうところまで進めないと、機材の台数も人数も決まらない。急がなければならないのに聞き取りが長い、というのがこの受付の構造です。

看板製作や貸し会議室とは、何が違うのか

看板製作や貸し会議室の仕事と決定的に違うのは、イベント設営が一日限りの本番に向けて条件を全部そろえ切らなければならず、しかもその準備期間、担当者が別の会場に張りついているところです。

採寸から製作、施工まで工程が長い看板・サイン製作業の見積もりをAIで軽くするは、物を作って納めるまでの時間が読めます。場所そのものを貸すレンタルスペース・貸し会議室の予約対応をAIで軽くするは、空き状況が決まれば話が進みます。イベント設営は、会場を借りるのは主催者、物を持ち込むのはこちら、当日の時間は分刻み、という三つが同時に動きます。そのため見積もりの前段で集める条件が多く、しかも一つでも欠けると数字が出せません。見積もりそのものの組み立て方は見積書の作成をAIで効率化する進め方にも書いています。

AI従業員に任せられる業務の例

吊り込みや電源に関わる安全上の可否、当日の人員と機材の配分、金額の決定は必ず人が行います。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

導入の流れ(2〜14日が目安)

STEP 1 無料診断+1業務の無料AI従業員化: LINEでご連絡いただければ、いまの相談の受け方と、現場に入っている時間帯にどれだけ返事が止まっているかを一緒に整理します。費用はかかりません。

STEP 2 業務確認・設計: 扱う案件の種類ごとに、見積もりの前に必ず聞く項目、すぐ担当へ上げる条件、断る条件を、御社の受け方に合わせて組み込みます。安全に関わる可否と金額は人が握る範囲としてはっきり分けます。

STEP 3 構築・試験運用(2〜14日目安): いまお使いのLINE・メール・フォームのまま、裏側にAIを組み込みます。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが文字に整えて相談の一覧に並べる形にします。

STEP 4 本格稼働: 相談の受け皿としてAIが動き始めます。よく来る会場の種類や案件の傾向に合わせて、聞き取りの項目を月1回のペースで直していきます。

よくある質問

電話にもAIが直接出てくれるのですか?

いいえ。AIが自動で受けるのはLINE・メール・フォームです。電話はこれまで通り人が取るか留守番電話で受け、そこに残った伝言をAIが整理します。主催者や代理店に文字の窓口を伝えておけば、仕込みで手が離せない時間帯の相談を後から拾い直しやすくなります。

会場を見ないと決まらない部分まで、AIが答えてしまいませんか?

答えません。AIが行うのは、会場名・搬入経路・電源容量・天井高・進行といった条件を聞き取って並べるところまでです。その会場でその吊り方ができるのか、電源が足りるのか、安全に組めるのかは、下見と有資格者の確認を経て人が判断します。

急ぎの相談かどうかを見分けられますか?

開催日までの日数、搬入までの残り時間、規模の大きさといった条件で並べ替えるところまでは任せられます。実際に受けるかどうか、どれを優先して返すかを決めるのは担当者です。急ぎのものが埋もれにくくなる、というのが役割です。

当日の変更や追加の連絡はどう扱われますか?

案件ごとに紐づけて記録し、担当者に見える形で残します。人を増やす、機材を足す、時間を延ばすといった判断は現場の責任者が行います。当日の口頭のやり取りは後から分からなくなりやすいので、文字で残しておけると突き合わせがしやすくなります。

主催者からもらう進行表や図面も渡していいのですか?

扱う情報の範囲は導入の設計時に決めます。出演者名や来場者の名簿のような外に出せない情報を含む資料は、AIに読ませずに人が直接扱う、という切り分けもできます。何をどこまで渡すかを最初に線引きしておくのが前提です。情報の扱いに関する考え方はAIに任せて顧客情報は漏れないのかにまとめています。

料金はどれくらいかかりますか?

扱う案件の幅や相談の受け方によって変わるため、まずは無料診断でご説明します。1業務から小さく始める形をおすすめします。

まとめ

イベントの相談は、こちらの都合とは無関係に、主催者が動く時間に届きます。その時間、設営会社の担当は別の会場で脚立に上がっている。戻って携帯を見た頃には、相手は他社と話を進めている。しかもこの仕事は見積もりの手前で聞くことが多く、条件が一つ欠けるだけで数字が出せません。人を張り付けて即答できる体制を作るのが理想ですが、当日仕事のこの商売でそれをやると、現場に出せる人が減ります。安全の可否と金額は人に残したまま、相談の受け止めと条件の聞き取りだけを文字の窓口へ逃がすのが現実的な妥協点です。

合同会社9Zは足立区にありますが、机が並んでいるわけではなく、僕一人の会社です。トラスを組んだことも、深夜のばらしに立ち会ったこともありません。それでも、動けない時間に限って一番大事な連絡が届き、返した頃には話が先へ進んでいた、という取りこぼし方は他人事に思えません。以前、組織として大きくしようと業務委託を増やした時期がありました。関わる人が増えるほど確認のやり取りと書類が膨らみ、その分だけ利益が削られて、事業のほうは思ったように伸びていきませんでした。委託を1社まで戻し、受付と聞き取りをAIに渡したいまは、売上はそのままで、手元に残るものが増えています。開催日が動かない仕事なら、最初の一往復だけは遅らせない形を持っておきたいところです。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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