AI従業員コラム

Column

中小企業が残業を減らすために最初にやること

2026-06-29 ・ 合同会社9Z 須賀龍平

この記事の要点

中小企業の残業がなくならないのは、仕事が遅いからでも段取りが悪いからでもなく、日中は電話・問い合わせ・来客対応に手を取られて本業が進まず、見積もりや請求といった事務が夜に回るという時間の構造から来ている。人を増やして残業を吸収しようとすると、人件費とコミュニケーションの手間が増えて利益が削られやすい。AI従業員は問い合わせの一次対応・返信や見積もりの下書き・書類の下ごしらえを日中の裏側で進め、金額や中身の判断は人が握る分担で、夜に回っていた作業を昼のうちに片づけられる状態に近づける。最初に着手するのは「後回しにされがちな1業務」。一人社長・須賀龍平が自社で人を増やして利益が圧迫された経験から解説する。

中小企業の残業は、人を増やさずに減らせる

中小企業の残業がなくならない根本は、仕事が遅いからではなく「日中は電話や問い合わせ対応に手を取られて本業が進まず、事務が夜に回る」という時間の構造にあります。ここはAIに日中の一次対応と下ごしらえを任せ、人は判断に集中できる形にすると、夜に回っていた作業を昼のうちに片づけられる状態に近づきます。

残業の話になると、つい「効率が悪い」「人が足りない」と原因を探しがちです。けれど現場をよく見ると、日中ずっと手が動いていないわけではありません。むしろ問い合わせの電話、見積もりの催促、来客対応、現場とのやり取りで、本業や事務をまとめて進める時間が細切れに削られている。その結果、見積もりや請求、報告書といった「まとまった時間が要る作業」が、誰も邪魔をしない夜にずれ込む。これが残業の正体であることが多いです。

なぜ中小企業の残業は減らないのか

残業が減らないのは、本来は昼にやれる事務が、日中の割り込みで夜に押し出されているからです。

中小企業では、社長や数少ない社員が、本業と事務と問い合わせ対応を一人で何役も担っています。日中はその中で最も中断されやすい「問い合わせ対応」に時間を取られます。電話が鳴れば手を止めて出る、見積もりの催促が来れば対応する、来客があれば抜ける。一つひとつは短くても、積み重なると、まとまった作業をする時間がなくなります。そうして後回しになった見積もり・請求・報告といった事務は、割り込みのない夜にやるしかなくなる。つまり残業は「やることが多すぎる」だけでなく、「昼にやれるはずの事務が、割り込みで夜に追い出されている」という時間の構造から生まれています。ここを変えずに、気合いや残業削減の号令だけで減らそうとしても、また翌週には戻ります。割り込みの中心である電話の取りこぼしについては電話の取りこぼしをAIの一次対応で防ぐ方法にも書いています。

人を増やして残業を吸収する前に考えたいこと

残業を人手で吸収しようとすると、人件費とコミュニケーションの手間が増えて、利益のほうが先に削られやすいです。

「人を増やせば残業は減る」は、一見正しく見えて、落とし穴があります。僕自身、会社を大きくしようとして業務委託で人を増やしたとき、書類業務とコミュニケーションが想像以上に増えて、かえって利益が圧迫されました。人が増えると、その人に伝える・確認する・教える時間が新しく発生し、事務の総量はむしろ増える。残業は人数で割れても、利益は逆に薄くなる、ということが起こります。だから残業を減らすときに最初に考えたいのは、人を足すことではなく、「夜に回っている事務のうち、判断のいらない作業を日中の裏側で片づけられないか」です。人を増やすことのコスト構造は人を増やしても利益が増えないのはなぜかに詳しくまとめています。

AIに日中の下ごしらえを任せ、判断は人が持つ

ここで効くのは、残業を担う人を増やすのではなく、夜に回っている事務の「作業の部分」を日中の裏側に持たせる発想です。

問い合わせの一次対応、返信や見積もりの下書き、請求や報告の下ごしらえは、判断ではなく作業です。AI従業員は、日中に届いた問い合わせを整理して返信を下書きし、見積もりや請求の項目を拾い出し、報告の定型部分を下書きしておきます。人がやるのは、手が空いたときに「中身を確認して送るだけ」「金額を決めるだけ」。金額の決定、内容の判断、最終確認は必ず人が持ちます。判断は人、準備はAI、という分担です。日中の割り込みでまとまった時間が取れなくても、作業の部分が下書きまで進んでいれば、夜にゼロから起こす必要がなくなり、残業に回っていた時間を縮められます。

最初に着手するのはどの業務か

残業を減らすなら、いきなり全部を変えようとせず、「後回しにされがちで、判断より作業の比重が大きい1業務」から始めるのが現実的です。

どれも、判断は人に残したまま作業だけを切り出せる業務です。最初の1業務で夜の作業が目に見えて減れば、次の業務にも広げやすくなります。何から手をつけるかの考え方は事務作業の自動化はどこから始めるべきかにもまとめています。仕組みの全体像はAI従業員のサービス紹介で確認できます。

よくある質問

残業の原因は人が足りないことではないのですか?

人手が要因のこともありますが、よく見ると「日中の割り込みで本業や事務が進まず、夜にずれ込んでいる」ケースが多いです。その場合、人を増やす前に、夜に回っている事務の作業部分を日中の裏側に持たせるほうが、利益を削らずに残業を減らせます。

AIに任せると、かえって確認の手間が増えませんか?

下書きの確認は要りますが、ゼロから起こすより速いことがほとんどです。判断のいる金額や中身は人が決め、転記や項目出しといった手間のかかる作業をAIが先に済ませておく分担なので、残業に回っていた時間を縮められます。

人を増やすのと比べて何が違いますか?

人を増やすと、人件費に加えて、伝える・確認する・教えるコミュニケーションの手間が新しく発生します。AIに作業の下ごしらえを任せる形なら、その上乗せが少なく、判断は人が持ったまま事務の総量を減らせます。

今のやり方を大きく変えないと使えませんか?

変えなくて大丈夫です。今使っているLINE・メール・Excelをそのまま入口にして、裏側でAIが下ごしらえを進める形が基本です。新しいアプリを覚える前提にはしません。

一人や少人数の会社でも効果はありますか?

むしろ効果が出やすいです。少人数ほど一人が本業と事務を兼ねていて、割り込みで事務が夜に押し出される度合いが大きいので、その作業を仕組みに渡す効きが出ます。一人運営の事務の回し方は一人社長が事務に潰されないための仕組みにも書いています。

まとめ

中小企業の残業がなくならないのは、仕事が遅いからでも段取りが悪いからでもなく、「日中は割り込みで本業が進まず、事務が夜に回る」という時間の構造から来ています。人を増やして吸収しようとすると、人件費とコミュニケーションの手間で利益が先に削られやすい。だから最初にやるべきは、夜に回っている事務のうち、判断のいらない作業を日中の裏側に持たせることです。

僕は足立区保木間で合同会社9Zを一人で経営し、自分の会社の問い合わせ対応や書類の下ごしらえをAIに任せて回してきました。会社を大きくしようと業務委託で人を増やしたら、書類とコミュニケーションが増えて利益が圧迫された。今は業務委託を1社に絞り、人がやるべき判断以外をAIに任せたことで、売上を落とさずに利益率を改善し、自分の時間にも余裕ができました。残業も同じで、人を足すより、夜に回っている作業を昼の裏側に逃がすほうが、利益を守りながら減らせると考えています。

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須賀龍平(合同会社9Z 代表)
この記事を書いた人 須賀 龍平 — 合同会社9Z 代表

1996年生まれ。一人で会社を経営。業務委託で組織を広げた結果、利益とゆとりを失った経験から、「人がやらなくていい仕事はAIに任せる」やり方に切り替え、自社で実践したうえで「AI従業員」を事業化。在宅ナレーター育成スクールほか複数の事業を一人で運営している。

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